【物見遊山101】 奈良万灯会 真夏の夜の「ならプロムナード」
2006.08.14-16
焦げつくような奈良盆地の夏…。灼熱の古都に、盂蘭盆会に里帰りして追善の供養を受けた精霊をふたたび黄泉の国へと送る、一片の風物詩がある。「奈良万灯会」…、東大寺や興福寺などの仏閣をライトアップ、露地に灯籠を点し、大文字のかがり火で故人の霊を彼岸へと送る催しだ。

飛火野の公園広場に、数千個の露地灯籠が並べられ、午後6時30分の点灯を待つ。
← 万灯会会場で準備を手伝う
鹿くん
夕食を済ませてから、奈良ホテルを出て坂を下り、猿沢の池から興福寺五重塔のライトアップを仰ぐ。
猿沢の池から興福寺五重塔を見上げて →
(ケイタイ画像です)
ゆっくりと坂を登り、東大寺へと向かう。大仏殿の大屋根の両端に座る大鴟尾(しび)が、ようやく暮れようとしている宵闇の空に、金色に輝いていた。
← ライトアップされた東大寺
大仏様へのご挨拶はまたのちほどに伺うとして、飛火野を抜ける坂道を登り、春日大社へと向かう。今宵は、節分の日とともに年に2回、境内の全ての燈籠に火が点される。
春日大社は平城京の守護のために建立され、その後は藤原氏の氏神として保護されてきた。境内の3000個におよぶ燈籠は、800年の昔より1200年間に渡って、藤原氏を始め広く国内外の信奉者によって奉納されたものである。
全ての燈籠に一斉に火が入れ

られると、回廊沿いの御手洗川の川面に映える灯影が揺れ、幻想の世界が現れる。
↑ 春日大社表門
一斉に火が点された 3000個の吊り燈籠 →
飛火野の南を回り、「ささやきのこみち」を歩いて、鷺池へと向かう。

鷺池に浮かぶ浮御堂(大正期建立)は、猿沢の池と並んで、奈良プロムナードの中の、水辺の風景である。橋を渡って御堂まで行くと、水面を渡る風が頬を撫でて、涼しく快い。
← 鷺池に浮かぶ 浮御堂
時刻はちょうど午後8時、御堂の背後に山容を浮かべる高円山(たかまどやま)の「大」の文字に火が入った。京都の大文字に一日先駆けて行なわれる「奈良大文字送り火」である。
高円山の大文字送り火 →
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洋雲園地の燈籠群 |
浅茅が原を横切り、露地燈籠の灯りが揺れる奈良国立博物館の前を通って、再び東大寺へと戻った。
参道から南大門、その両脇に鎮座する金剛力士像も、今宵は光の世界の中に浮かび上がる。
境内も敷き詰められた燈籠の光に溢れていた。仰ぎ見る大仏様のお顔も、太平の世の光のページェントにご満足の面持ちであった
↑ 南大門前のライトアップ
境内に溢れる燈籠の光 →
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